【第8回:補足編】経験学習研修でよくある失敗とその回避策——形骸化を防ぎ、成果を出し続けるために
- watanabe nobuyuki
- 2 日前
- 読了時間: 3分
こんにちは。
第7回までで、経験学習を活用した研修の全体像と成功の原則をご紹介しました。
今回は補足編として、現場でありがちな失敗パターンと、その回避策をお伝えします。
◆ 失敗1:日報・週報が「とりあえず埋める」だけになる
よくある状況
提出はされているが、中身が薄い
感想が「特になし」「いつも通り」など形だけ
書くことが目的化してしまう
回避策
相互評価を仕組みに入れる(他の人の内容を見て学ぶ)
「良かった文章と理由を書く」設問を入れて刺激を与える
定期的に“選ばれた文章集”を共有し、良い書き方のモデルを示す
【ポイント】
書き手だけでなく、読み手の視点を持たせると質は一気に上がります。
◆ 失敗2:提出が続かない
よくある状況
忙しい時期になると提出率が下がる
未提出者が増えても放置される
気づいたら半分の人しか続けていない
回避策
提出状況を全員が見える形(メーリングリスト等)で共有
締切前日に「残り○名」の提出状況を周知
未提出の場合は事務局に間接的に相談(反発を避ける)
【ポイント】
“見える化”と“間接アプローチ”で、心理的プレッシャーを適度に与えることが大事。
◆ 失敗3:研修後に習慣が消える
よくある状況
研修期間中はやっていたが、終わった途端に途絶える
「やらなきゃいけない」から「やらなくていい」へ切り替わってしまう
回避策
研修後も月1回の簡単なチェックインを設定
OB・現役合同の共有会を年数回行う
成果事例を社内で発信し続ける
【ポイント】
“軽く続けられる仕組み”を残すことが、文化定着の第一歩。
◆ 失敗4:上司や経営層が関わらない
よくある状況
管理職が振り返りに無関心
上層部が「現場任せ」で、研修効果を評価しない
回避策
上司に1on1や会議で振り返り内容を聞くよう依頼
成果や変化を経営層へ定期報告
評価制度に“行動変化”を盛り込む
【ポイント】
上からの関与がないと、研修は「一部の人の努力」で終わってしまいます。
◆ 失敗5:成果が“見える化”されない
よくある状況
何となく良くなった気はするが、証拠がない
社内で共有されず、他部署に広がらない
回避策
数値(提出率、行動回数)とストーリー(エピソード)の両面で成果を記録
成果事例を写真・引用付きで共有
研修報告会で発表の場を作る
【ポイント】
「良かった」で終わらせず、“形”として残すことが次につながる。
◆ まとめ
経験学習の研修は、仕組みさえ作れば勝手に回るわけではありません。
形骸化・離脱・忘却——この3つの落とし穴をどう防ぐかが、成果を出し続けるカギです。
そしてそのためには、
短いスパンでの振り返り
見える化と相互評価
OBや上司の巻き込み
成果の可視化
この4つを意識して運営することが重要です。
◆ 次回予告:10/15(水)
第9回では、「業種別カスタマイズ事例」として、製造業・営業職・管理職研修での経験学習の設計ポイントをご紹介します。
現場や役割に合わせてどうアレンジしているのか、実践的にお届けします。
コメント