第3回 なぜ管理職は、一人で抱え込んでしまうのか?── 「関わり方」が変わらなければ何も変わらない

■ 前回の整理
前回、管理職育成における最初の層 ── 「個人」の層について整理しました。
そこで見えてきたのは、こういう構造でした。
管理職本人の意識が低いのではなく、本人の自己認識と組織からの期待の間に、言語化されていないズレがある。
そして、そのズレは本人の中だけでは解消されない、というところまでお伝えしました。
今回は、そのズレがなぜ本人の中だけでは解消されないのか ── 「関係性」の層に踏み込みます。
■ 期待は、誰かが伝えなければ「ズレたまま」になる
前回お伝えした「認識のズレ」は、放っておいて自然に埋まるものではありません。
埋まるとすれば、それは誰かとの関わりを通じてです。
上司が期待を言葉にして伝える
部下からのフィードバックで、自分の見え方に気づく
人事が、組織として求める役割を明確に示す
つまり、ズレを埋める役割を担っているのは、本人ではなく、本人を取り巻く関係性です。
👉 個人の認識は、関わりの中でしか更新されません。
■ 同じ組織にいながら、見えている景色が違う
ここで難しいのは、上司・部下・人事の三者が、それぞれ違う景色を見ているという点です。
上司から見た景色 部下である管理職に対して、より高い視座やリーダーシップを期待している。ただし、その期待を具体的な言葉にして伝える機会は、意外と少ない。
部下から見た景色 管理職の指示や関わり方を日々受け取っている。違和感があっても、それを本人に直接伝えることは少ない。
人事から見た景色 組織全体の育成方針や、階層に求める役割を設計している。ただし、個々の管理職が置かれている現場の状況までは、詳細に把握しきれていない。
三者とも、それぞれの立場から見えているものを前提に動いています。
悪意があるわけではなく、単純に「見えている範囲」が違うのです。
👉 見えている景色が違うまま関わり続けると、期待も、違和感も、方針も、正確には伝わりません。
■ 管理職が「一人で抱える」構造になる理由
上司からの評価は悪くない。部下からも、表立った不満は出てこない。
人事からも、特に指摘は受けない。一見、問題がないように見えます。
ただし本人の中では、次のような感覚が積み重なっていきます。
何かが噛み合っていない気がするが、具体的に何かはわからない
誰かに相談しようにも、何を相談すればいいのかが言語化できない
結果として、一人で判断し、一人で抱え込む
👉 「一人で抱える」状態は、本人の性格や能力の問題ではなく、関わりの中でフィードバックが機能していないことの結果です。
■ この層への対策として、何が有効か
視点 01 期待を具体的な言葉にして伝える機会をつくる
視点 02 本人以外の視点を、本人にフィードバックする
視点 03 一人で抱えないための「壁打ち相手」を用意する
これらは、研修という一過性の場だけでは実現しにくく、日常的な関わりの中に組み込む必要があります。
■ 次回に向けて
次回は、最後の層 ── 「仕組み」の層に進みます。どれだけ関わり方を変えても、それを支える仕組みがなければ、変化は一過性で終わってしまいます。




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