【第1回】なぜ今“経験学習”なのか——研修を「やって終わり」にしないために
- watanabe nobuyuki
- 8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:9月6日
こんにちは。
第1回では、「なぜ今、“経験学習”なのか」を、私自身の体験や現場のエピソードを交えてお伝えします。

◆ 研修はやった、でも現場は変わらない——この“もどかしさ”の正体
私は20年近く企業の人材育成や研修に携わってきました。
その中で、何度もぶつかってきたのが「研修はやった。けれど、現場が変わらない」という壁です。
よく耳にするのは「受講者はその場では盛り上がっているのに、職場に戻るといつも通り」「研修で学んだ内容が行動につながっていない」といった声。
実は、私自身も正直“やらされ感”で受けてしまっていた研修がありました。
会社がせっかくコストをかけてくれているのに、「やって終わり」になってしまうのは、もったいない——そんな悔しさやもどかしさを、何度も味わってきました。
◆ “経験学習”にこだわる理由(私の原体験から)
昔から私は、「人は本当に経験から学んでいるのだろうか?」と疑問を持っていました。日々の業務でたくさんの出来事を経験しているはずなのに、ふと振り返ると「なぜこうなったのか覚えていない」「気づいたら“なんとなくできるようになっていた”」……
そんなことが実は多い。
特に仕事では、「なんとなくうまくいったこと」を改めて言語化したり、“自分なりのやり方”を言葉にしたりする機会はほとんどありません。
でも、ここに落とし穴があると思うのです。“なんとなく”のまま過ごしていると、自分でも気づかないうちに成長のチャンスを見逃してしまう。
その結果、研修の場でいくら学んでも「現場で変わらない」ことになってしまう。
◆ 「行動の習慣化」と「振り返り」が現場を変える
私が強く感じているのは、経験したことを「言葉にする」「振り返る」習慣がないと、学びは定着しないということです。
実際、私自身が本気で研修プログラムに向き合い、
日報や週報で日々の行動や気づきを書き出す
「なぜそうしたのか」「その結果、どう感じたか」を言語化する
この繰り返しを数ヶ月続けてみることで、はじめて「自分の行動の理由」や「変化のきっかけ」に気づけるようになりました。
ある現場リーダーの例では、 「毎日、パートさんに声かけする」と週報に書いていた行動が、実際に続けていくうちに、「これまで距離があったパートさんから相談を受けるようになった」「残業など現場の調整ごとも話しやすくなった」という“目に見える関係性の変化”にまでつながったこともありました。
◆ “経験学習”は理論ではなく、「現場で変化を起こす考え方」
「経験学習」という言葉を、私は単なる理論ではなく、現場で変化を起こす“実践的な考え方”として捉えています。
日々の現場感覚
習慣化のための仕組み
そして自分で自分の経験を振り返る
これらすべてが、経験学習という言葉に集約されていると感じます。
◆ 次回予告:8/27(水)
第2回では、どうすれば“やって終わり”を防ぎ、「学び」を現場の行動に変えるプログラム設計ができるのか——
私自身が試行錯誤してきた仕掛けや工夫について、具体的にご紹介していきます。
「現場を変えたい」「行動につながる研修を作りたい」そう感じている方に、少しでもヒントになる連載にしていけたらと思っています。
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