【第2回】「やって終わり」を防ぐ——経験学習プログラム設計のコツ
- watanabe nobuyuki
- 8月27日
- 読了時間: 3分
更新日:9月6日
こんにちは。
前回は、「なぜ今、経験学習なのか」を私の体験も交えてお話ししました。
今回は、実際にどのような仕掛けや設計で、“やって終わり”を防いできたのか、そのポイントや工夫を紹介します。

◆ 「1日研修で終わらせない」と決める
私が研修を設計するとき、最初に決めているのは「1日や2日の研修で終わらせない」ということです。
もちろん、まとまった時間で集中して学ぶ場も大切です。 でも、実際に現場で“行動”を変えるには、続けて振り返る・続けて実践するための“仕組み”が必要だと痛感しています。
◆ 日報・週報の「短いスパン」で習慣化を仕掛ける
特に効果的だと感じているのは、日報や週報で「短いサイクル」の振り返りを繰り返すこと。
最初は「めんどうだな」「何を書けばいいかわからない」と言う人も多いです。
でも、毎週(あるいは毎日)書き続けることで、
自分の行動を意識する癖がつく
「できた/できなかった」を記録できる
どんな時にうまくいったか、うまくいかなかったかに気づける
こうした小さな積み重ねが、少しずつ現場での行動や意識の変化につながっていきます。
例えば、「今週は職場で○○をやってみる」と宣言し、翌週には「実際にやってみてどうだったか」を書く。
このサイクルを何度も回すことで、“ただ学ぶ”から“実際にやる→振り返る→修正する”へと習慣化していくのです。
◆ 振り返りの“問い”を工夫する
単に「やったこと」を羅列するだけでは、深い学びにはつながりません。
私は、日報や週報の設問をこんなふうに工夫しています。
どんな行動をしたか?(できた/できなかったでもOK)
その行動をやって、どう感じたか?
周りにはどんな変化があったか?
次は何をしたいか?
こうした問いを毎回投げかけることで、受講者自身が「自分の行動や感情」「周囲との関係の変化」まで目を向けるようになります。
◆ チーム学習の仕掛け——「一人でやらない」仕組み
もう一つ、大きなポイントは「チームで学ぶ」仕掛けを入れることです。
たとえば、週報を提出する際、「他の受講者の中で“良かった行動・気づき”を選び、その理由を書く」というルールを設けています。
選ばれた人は純粋に嬉しい
選ばれなかった人は悔しい
お互いの良いところを見つけ合い、フィードバックが自然と回る
「誰かに見られている」ことで、適当に書けない(質が上がる)
こうした“相互刺激”や“見られている意識”が、アウトプットの質や習慣化を一気に高めてくれます。
◆ OBフォローで続ける・広げる
さらに、過去の受講者(OB)を新たな受講者のフォロー役にすることも続けています。
OBは、自分がかつて「続ける大変さ」を知っているので、後輩たちに寄り添ったアドバイスや励ましができる。
OB自身も、振り返りの機会になるというメリットがあります。
◆ 現場で見えた小さな変化が、大きな成果につながる
このような仕掛けを重ねると、
行動や気づきを「書いて終わり」にせず、
自分とチーム、現場全体の変化として「実感」できるようになっていきます。
私自身、日報や週報を数ヶ月続けた受講者が、「はじめて“現場で自分の行動が変わった”と実感できた」と語ってくれた瞬間を何度も目にしてきました。
◆ 次回予告:9/3(水)
次回は、実際の現場で“経験学習”をどう運用し、どんな変化や成果があったのか?
具体的なストーリーや失敗談も交えながら、ご紹介したいと思います。
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